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Japanische Klassiker mit Furigana

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こきょうしちじゅうねん

故郷七十年

柳田 国男

Lesen Sie 故郷七十年 (こきょうしちじゅうねん) von 柳田 国男 (やなぎたくにお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 257.350 Zeichen · 507 Bildschirme

Aozora Bunko

街道すじの昔

私の生れた松岡の家が、少なくとも二度は、非常に純粋な昔風の頼母子の恩恵に浴したように思われる。しっかりした世話人が必要だったが、長兄が家を出た時には、辻川の隣部落の井ノ口にいた、四十歳を少し越えた、大変義侠心と智力とのあった人が、兄を信用し愛して、その役を引受けてくれたことを憶えている。私の家の建てかえの時にも、誰かそのような人が尽力してくれたものであったろう。

その井ノ口の人の一家は、その後不幸続きで、第一に私と同年輩だった友人が病死し、それから後継の子供などがつぎつぎに病死してしまった。

街道すじの昔

辻川は、海岸の的形あたりを朝立ちすれば、十時ごろまでには鮮魚が届く所であるから、辻川の街道の思い出には必ず魚売りたちが想起される。魚じまの季節には鯛売り、秋の季節には若狭ガレイ売りも村を訪れた。頭に籠をのせ、その中に十枚宛のカレイを扇型に並べた若狭ガレイ売りの、「カレイ要りまへんかあ」とふれ歩いた声が、いまも耳の底によみがえってくる。子供心に、若狭という語感から、出稼ぎの女性がいかにも優しい女性であるかのように思われた。

八字髭の紳士をのせた二人引きの人力車が北の方へ走ってゆくと、北の方からは山茶売りも下ってきた。