Japanische Klassiker mit Furigana
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こきょうしちじゅうねん
故郷七十年
柳田 国男
Lesen Sie 故郷七十年 (こきょうしちじゅうねん) von 柳田 国男 (やなぎたくにお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 257.350 Zeichen · 507 Bildschirme
わが家の特性
あんまり間があるので対面したという気がしなかった、という話もあった。名前は何といわれたか、今でも記録には出ているのか。登山の折にはいつもその人のことを思い出すが、それを確かめる折がついになかったから、これもまた一つの幼き日の夢である。
わが家の特性
私の曾祖父という人は、若いころ京都に行って、吉益東洞という漢方医の先生について学問をした。理論倒れの荒っぽい医者で、下剤をやたらに使う先生だったらしいが、曾祖父もそれを習ってきたので、いっこう流行らなかった。ただ不思議にもその傍ら音韻の研究をしていた。著書らしいものもあったが、明治二十二年に一家が上京する時、急いで本箱二つ程の蔵書といっしょに井上の家に預けて、そのままになってしまった。この蔵書の中にはもう一つ、前にも触れた曾祖父の筆になる「舌の図」というのがあった。解剖は知らず、診断は脈、呼吸、舌などによる他はないので、美濃判半截位の大きさの紙に、一々絵具を使って舌の絵と症状とが描いてあった。所々に白い星のあるのとか、絵の下に一つ一つ細かい字で説明がしてあった。
曾祖父が並の医者のしないことをしたり、専門外の音韻を研究したり、絵図を描いたりした、変った性癖が、どうも私どもに遺伝しているのではないかと思う。