Japanische Klassiker mit Furigana
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こきょうしちじゅうねん
故郷七十年
柳田 国男
Lesen Sie 故郷七十年 (こきょうしちじゅうねん) von 柳田 国男 (やなぎたくにお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 257.350 Zeichen · 507 Bildschirme
木地師の葬法
郡上八幡に出て一泊した時、郡長が来て、私は警察上りで、木地屋の山荒しにさんざん閉口した苦い経験をもっているといいながら、こんな事件の話をしてくれた。
伊勢の宮川の下流で警察署長をしていた時に、ずっと上流のところで、アンペラのようなムシロに包んだ死骸が一つ出て来た。上手に絡めてしばってあり、そこに一つ小刀がさしてあった。なかなか紐が解けなくて、大変な犯罪事件ということになった。ところが一人ごく老巧な警察官がいて、「ええ、こりゃ、あれじゃありませんよ、木地屋です」といったとか。何故分ったかというと、そこが面白い。
木地屋の葬法は、普通とはちがって棺桶を使わないらしい。アンペラのように綺麗に編んだむしろで屍体を包み、上を幾重にも括り、その上にお守りにサスガ(小刀)を一本つけて置く。その小刀を見れば、木地屋かどうかということがすぐ判るのだという話であった。木地屋の小刀は刃のつき方が普通とちがっている。普通の人の使うのは、手に持って右の下に刃がついているのに、木地屋のは木材を刳りやすくするため、刃が左の下についているから、すぐ見分けがつくというのである。珍しいことと思って聞いたわけである。