Japanische Klassiker mit Furigana
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こきょうしちじゅうねん
故郷七十年
柳田 国男
Lesen Sie 故郷七十年 (こきょうしちじゅうねん) von 柳田 国男 (やなぎたくにお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 257.350 Zeichen · 507 Bildschirme
辻川の変化
私はいまも思い出すのであるが、春先になると村の若い人々が、瀬加村の方へよく若木を採りに行ったものである。その人々の後ろについて知らない土地へいってみたいとあこがれたことがあったが、牛にぎっしりと積んでもち帰る下木と呼ばれたその若木も、枝ごと田に踏み込んでは緑肥にしたのであった。私は自分の故郷について、いったいどのあたりまでが、その「たわら」という限られた地区であったろうかと考えるのであるが、恐らく街道より南の方にだけ、昔の田圃はあったものであろう。村の北部は山林であるから、現在のように少しずつでも水田が出来てきたのは、貯水池が作られるようになった、ごく近い時代のことであろうと思っている。
辻川の変化
僅か八十戸か百戸足らずの部落であった辻川でも、時代の影響をうけて、私らの目前で変って行くのがよく判った。いちばん大きな力となったのは郡役所である。郡書記が首席と次席と二人いて、百姓より収入が多く、豊な生活をしていた。郡長の倉本さんは、淡路の三原郡出身であった。酒ばかり飲んでいたが、詩がうまくて、私の父なども交際しており、息子たちにも他につき合う者がなかったので、私が招ばれてよくつき合った。