Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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こきょうしちじゅうねん

故郷七十年

柳田 国男

Lesen Sie 故郷七十年 (こきょうしちじゅうねん) von 柳田 国男 (やなぎたくにお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 257.350 Zeichen · 507 Bildschirme

Aozora Bunko

生家にあった子供の本

前にのべた東北の鈴木家で、真澄などが泊ったのは真中の部屋であったという話である。表の客間は、もっと格式のある偉い人のために用い、真澄のような旅の歌詠みが来ても中の間に泊めたわけである。辻川の三木家などでも、郡長とか県の役人が来て泊るのは表の客間で、普段は空けてあった。そして私などはいつも中の間に泊めて貰っていた。

私の生家に本が少なかったことが、かえって私を本好きにし、そして家が小じんまりしていたことが、私に日本家屋の構造に興味をもたせるようになったのは、面白い経過であったと思っている。

生家にあった子供の本

祖母小鶴は私の生れる二年前、すなわち明治六年に世を去った。昔あった道端に近い、多分二階家であったらしい家で、寺子屋を開いて大勢の子供を教えていた。もうこの旧い家のことは誰一人知った者もない。明治八年に私が生れた時分の家は他所から移して来た前記の小さな家に変っていた。

両親としてはこの家を建てるのに入り用が多かったに違いないから、いろいろのものを処分したことが想像せられる。代々学問をした家で、父も大変本好きだったのに、私の物心がついたころには、あまり蔵書がなかった理由も、そんなところにあったのかも知れない。