Japanische Klassiker mit Furigana
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こきょうしちじゅうねん
故郷七十年
柳田 国男
Lesen Sie 故郷七十年 (こきょうしちじゅうねん) von 柳田 国男 (やなぎたくにお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 257.350 Zeichen · 507 Bildschirme
中川・井上・松岡三家の関係
羨しくてたまらなかった。
辻川の村はずれに出ると、遠くに井上の家の屋根が見えた。北側に難波という家があって、そこの黒い板塀と井上の家の白い塗壁とが見えて、いかにも何時でも遊びに来いといってくれているように思われた。子供の私は行きたくてたまらなかったが、そう行っては向うに気の毒だと母がいって、月に一ぺんか二へんしかやってくれなかった。しかし他に行く所もなかったから、私らはほとんどそこの家の子供みたいになって育ったものであった。
中川・井上・松岡三家の関係
井上家は、四代ほど前にお祖父さんとお祖母さんとが残り、息子夫婦は三十二、三の時に腸チフスかなにかで同時に亡くなっていた。そして後には兄の養母になった人とその妹との二人の孫があるだけとなった。お祖父さんは多分六十歳前後だったと思うが、この姉娘に早く養子をしようと思って方々をさがした。その結果、川辺の中川家に二人の男の子があったので、その弟の方の碩平を迎えることにした。ところがこの川辺の兄弟の母親はやはり一族の網干の中川家から出た人で、私の祖父、陶庵と姉弟の間柄である。つまり碩平という井上家の養子と私の父とは従兄弟になっていた。