Japanische Klassiker mit Furigana
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こきょうしちじゅうねん
故郷七十年
柳田 国男
Lesen Sie 故郷七十年 (こきょうしちじゅうねん) von 柳田 国男 (やなぎたくにお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 257.350 Zeichen · 507 Bildschirme
ズズ玉のこと
ズズ玉のこと
多分私が九歳の時であったと思うが、顔から手足一面にイボが出来て困ったことがあった。医者であった父は、その時紙に三文字の漢字を書き、それを私にもたせて近くの生薬屋へ使いに出した。
白い汚れ色の、砕けた粒を粉にして服用させられたのには閉口したが、私に好奇心を抱かせたのは父が紙に書いた「※(「くさかんむり/意」、第3水準1-91-30)苡仁」の三字で、父に尋ねるとこれはヨクイニンとよむので、おまえらが毎年採って来るズズ玉の皮をとったものであると教えてくれた。
その後、私は茨城県の布川に移ったのであるが、そのころ五、六里離れた鳩崎という小さな町から鳩麦煎餅という名の菓子が売り出され、それがじつによく売れていた。私はその原料を、数年前のイボ薬の僅かな経験から推して、食用にならないズズ玉の、別にあることを知らず、その煎餅の原料を※(「くさかんむり/意」、第3水準1-91-30)苡仁であると早合点して、その文字を畳の上に書いてみせて大人を感心させた、恥しい思い出がある。
このような思い出話をするには理由がある。つまり、これがあるいは日本の最も大きな問題の一つにつながってゆくのではないかと考えているのである。