Japanische Klassiker mit Furigana
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こきょうしちじゅうねん
故郷七十年
柳田 国男
Lesen Sie 故郷七十年 (こきょうしちじゅうねん) von 柳田 国男 (やなぎたくにお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 257.350 Zeichen · 507 Bildschirme
柳田家のこと
両親の急逝
柳田家のこと
両親の急逝
私は高等学校から大学に移る前年に、相次いで両親を失った。
又従兄弟の中川恭次郎から、「近いうちにお母さんが布佐から来られるそうだが、来れば私の所に泊るのがいちばん便利だから、宿をするつもりでいる」という話をきいて、お礼をいって間もなく、母が東京に出てきた。二週間ばかり厄介になっていたであろうか、突然中川の家で卒中になって倒れてしまった。布佐の田舎から父も長兄も出てきたが、直ぐにどうということはなかった。しかし出先で倒れたので、田舎へどうして連れてゆくか、皆が非常に心を痛めた。私も中川の家に行って看病していた。
とうとう具体策として、高瀬舟を一艘借りよせ、浜町河岸まで持ってきておいた。病体をそこまで戸板にのせて運んでゆき、そっと舟に移して、私どもみながいっしょにのって、二日がかりで利根川をまわって布佐へ連れて帰った。それから半月か二十日してからと思う、母はとうとう亡くなった。明治二十九年の七月八日のことで、年は五十七歳であった。みな看病疲れでへとへとになったが、誰よりも第一に父がまいってしまった。
父親は郷里を出てからは、だれか介添がなくては、世の中が一人あるきできないような状態であった。