Japanische Klassiker mit Furigana
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こきょうしちじゅうねん
故郷七十年
柳田 国男
Lesen Sie 故郷七十年 (こきょうしちじゅうねん) von 柳田 国男 (やなぎたくにお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 257.350 Zeichen · 507 Bildschirme
父の伯州ゆき
稲の穂を、昔は親指と人さし指とにはめこんだ二本の竹切れで扱き落していた。それが竹を櫛の歯のようにならべた器具に変り、一度にざっと穂を扱くことが普通になるのだが、やがて竹は金物に変ったのである。そのことは私はいつか論文にまとめたことがあるが、農作業の進歩は江戸中期から幕末までの短い間に、こんな風に変遷した。
いわゆる新井白石流の歴史であれば、政権の変遷だけで時代を区切ることが出来るが、こうした人間の歴史は、必ずしも時代の変遷を輪切りのように区切るわけにはゆかないのである。じつは初期農法の残っている部落が、最新農法の隣村に存在したりしているのである。
村に来る伯州の金扱き売りも、競争が激しくなってくると、村の中に馴染を作ろうとする。その家で弁当を使ったり、休憩して世間話に耽ったりするのであるが、私の家の前の家でも、一人の金扱き屋が馴染をつけ、よく私の家の庭に咲いている桜や桃の花などを眺めながら、私の家について色々様子をたずねたりしたらしい。
この金扱き屋が、私の家の歴史に一つの事件をひき起した。
父の伯州ゆき
ある朝早く、突然私の家の門が激しくたたかれた。