Japanische Klassiker mit Furigana
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こきょうしちじゅうねん
故郷七十年
柳田 国男
Lesen Sie 故郷七十年 (こきょうしちじゅうねん) von 柳田 国男 (やなぎたくにお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 257.350 Zeichen · 507 Bildschirme
彼女の霊を葬いかつ生前を偲びつつ、ここで少し私の母方の家の変遷について話しておこう。
私がはじめて上京した明治二十年の九月、次兄の下宿先で毎朝目を覚ますたびに、「ゴトウマツゾウ、ゴトウマツゾウ」と呼びながら歩く男の声が聞えて、何故東京では私の親戚の、それも故人を捜し歩くのであろうかといぶかったものであるが、後藤松蔵という北条の人は、私の母の妹(「おもと」といった)の夫であった。何でも一時相場か何かで産を成し、五十歳ほどで、私の叔母を娶り、祖父も呼び寄せて雑貨商を営んでいたが、祖父も亡くなった後で、ふとしたことから事業に失敗し、単身神戸へ出てつぶさに辛酸を舐めたらしかった。残された叔母は円顔で、じつに温和な女性であったが、私達兄弟よりそれぞれ一つずつ年下の女の子が四人あり、いつも母の許に来ては苦衷を訴えていたことを私も憶えている。やがて松蔵氏も再起して家族を神戸に呼び寄せたのであるが、間もなくコレラで世を去り、ついで叔母と三人の女も亡くなり、長女のおキクだけが北条に帰って来た。この話を父から聞いて、人生の悲哀が私の子供心に沁みたものである。その時の印象から「納豆、納豆」