Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

ja-reading.com

Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.

こきょうしちじゅうねん

故郷七十年

柳田 国男

Lesen Sie 故郷七十年 (こきょうしちじゅうねん) von 柳田 国男 (やなぎたくにお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 257.350 Zeichen · 507 Bildschirme

Aozora Bunko

ちょうど茨城の方から成田鉄道の停車場にゆく道になっていたので、私共のおった布佐の近所がずいぶん繁華になった。橋の名は「さかえ橋」といい、これは井上の兄が県境だから境橋と名づけたのだが、あの地方のイとエの発音の混同から村議会でサカエに訛ってしまったものだとか伝えている。今もこの橋は残っていて、私は橋を渡ったり、写真を見たりするたびに、長兄の一生というものを思い出すのである。一生を酒を唯一の慰めにして、他郷にいる寂しさを逃れていたのが、兄の境涯であった。

これは少しも自慢にならない逸話なのだが、あるとき貞明皇后さまに、人がわれわれ兄弟のことを、「あそこは四人兄弟がありまして、それぞれ何か仕事をしております」と申上げたところ、「もう一人、上のが田舎にいるはずだ」と仰言ったという話が伝わっている。それを聞いた兄は非常に感激し、「それでもう本望」と、それこそ涙滂沱として喜んだのであった。自分は弟どもの世に出るのを裏から助けて、一種の犠牲になったような感じを秘かにもっていたのに、図らずも、その自分に玉の御声が掛けられたと感激して、非常に生きる張り合いを覚えたわけであったろう。