Japanische Klassiker mit Furigana
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こきょうしちじゅうねん
故郷七十年
柳田 国男
Lesen Sie 故郷七十年 (こきょうしちじゅうねん) von 柳田 国男 (やなぎたくにお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 257.350 Zeichen · 507 Bildschirme
何でも母が夕日を見ていた。すると夕日のまわりに後光がかかって、軍旗のように見えた。みなをよんで来て、それを見せようとすると、パタパタパタとはためいて、お日さまだけになってしまう。何遍もそれを見た……というのが母の語る夢の話で、静雄も小さい時からそんな話をきいていて、いくらか暗示を受けたのかと思う。九つぐらいのときからきめていたのであるから、大変な子供であった。
友だちといっても自分より大きな者とばかりつき合って、小さな者を相手にしない。私どもは反対で、餓鬼大将になるのが好きだったのに、静雄は大人びていて、人の話ばかり、じっと耳をすまして聞いていた。
播州から下総へ来て間もなく、私は彼を欺したことがあったが、子供でもこんなに怒ることができるものかと驚くほど怒った。国会の開かれるちょっと前の明治二十二年の九月に、静雄が下総にやって来て、その秋のことだったと思う。私が冗談に手賀沼へ蛸を釣りに連れて行ってやるというと、「蛸がいるの」と本気になって聞き返すので、「大きな沼だからいるとも。支度して待っとれ、明日連れてってやるから」と言葉のはずみで答えると、「竿はどんなのがいいか」