Japanische Klassiker mit Furigana
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こきょうしちじゅうねん
故郷七十年
柳田 国男
Lesen Sie 故郷七十年 (こきょうしちじゅうねん) von 柳田 国男 (やなぎたくにお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 257.350 Zeichen · 507 Bildschirme
後に川筋が変り、崖崩れがあったために寺はなくなり、神橋だけが残ったわけだが、以前は上州館林の旧藩主、秋元子爵家の菩提所になっていた。文士の歴史を書く時によく出てくるお寺である。
昔、秋元家が日光の役人をしていた時分に、亡くなった人が一人あって、照尊院という号があったと見え、日光に葬ってから、そこが菩提所になったのであった。田山花袋はその秋元家の旧臣の家に生れたから、その手づるでよくこのお寺へ行って仕事をしていた。一度私を連れて行ってやろうというので、中川恭次郎だの二、三人といっしょについて行ったことがある。
日光羊羹がそのころ一本五銭だったのが、表通りの店では急に五銭五厘に値上げをした。一人が元宿の方の廉い店までわざわざ買いに行った。それを他の者がお茶を入れて待っているという具合で、かなり貧乏しながら、その寺の厄介になっていた。私らより若い小僧で、気の利いた人がいた。後に出世して、日光の執事になった菅原英俊という人である。ずっと後になって、家内や矢田部の甥などを連れて、一夏いたことがあったが、その時はもうこの人の代になり、厄介をかけたことがあった。