Japanische Klassiker mit Furigana
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こきょうしちじゅうねん
故郷七十年
柳田 国男
Lesen Sie 故郷七十年 (こきょうしちじゅうねん) von 柳田 国男 (やなぎたくにお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 257.350 Zeichen · 507 Bildschirme
みなが「播磨屋、播磨屋」といっているのに、その播磨には気づかずに、ただ岡田君としてつき合っていた。
岡田君は親類か縁者かを頼って東京に出て、一中に入った。そのため私はただ夏休みに一、二度彼と会う程度に止っていた。それがいよいよ私も東京に出て高等学校に入ってみると、一つ上の級に武松君がいるのである。いっしょに旅行しようといって、茨城の辺を旅行したことがあったが、これが私の旅行というものの面白味を感じた最初であった。木戸孝允の遺児で、昭和三十四年の春、京都で亡くなった木戸忠太郎君に会ったのも、この旅先であった。
母が生きていたので、旅費をねだって三円もらった。岡田君も、それくらいもって行ったのであろう。もちろん汽車はまだなかったから、布佐から歩き出し、利根川を渡しで越えて、筑波山に登って山上で泊った。一晩の宿賃に弁当までこしらえてくれて、わずか二十七銭であった。それから山を越えて向うへ降りようとすると、山の途中で、ひょっこり一人の高等学校の生徒に出くわした。それがかねがね寄宿舎でみなが世話になっているいちばん先輩の、委員長か何かして尊敬せられていた木戸忠太郎さんであった。