Japanische Klassiker mit Furigana
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こきょうしちじゅうねん
故郷七十年
柳田 国男
Lesen Sie 故郷七十年 (こきょうしちじゅうねん) von 柳田 国男 (やなぎたくにお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 257.350 Zeichen · 507 Bildschirme
一人この三、四年前からまたつき合っている人に、もと台湾におった大里武八郎という人がある。私よりも年は二つか三つ上だが、今は秋田の花輪に住んでいる。若いころは本当に綺麗な人であった。男の美しさとして、ちょっとあのくらい綺麗な人はないと思うほど、堂々たる背の高い立派な人であった。当時高等学校に雅楽の会があり、大里君はその一人であった。日清戦争のころと思うが、私の作った歌に合わせて舞ってくれたので、私はその会の人達をよく憶えている。私のは歌わせるつもりで書いたのではなく、他の軍歌調に叛いて作ったのだが、何しろ他のは漢語がたくさん入っていて歌いにくい、それで私の歌が用いられたらしい。
「むら雲騒ぐ黄海の……」という七五調のと、もう一つ「大八州」というのを作った。高等学校の寮歌集にも、これが断片的にのっているようである。
雅楽を教えてくれた先生は、信州北部の出身で面白い人であった。その先生が、体格のいい、しっかりした眼付きで、眉の坐ったような、りっぱな人を幾人か入れて、雅楽の舞の群を作っていた。高等学校の学生、とくに一番上級の学生が多かった。まるで雅楽に縁のなかった先生が、どうしてそんなことをするようになったか。