Japanische Klassiker mit Furigana
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こきょうしちじゅうねん
故郷七十年
柳田 国男
Lesen Sie 故郷七十年 (こきょうしちじゅうねん) von 柳田 国男 (やなぎたくにお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 257.350 Zeichen · 507 Bildschirme
信州の柳田家に入る
その後、法制局でいっしょだった上山満之進という人が山林局長になったので、いつでも私を後援して、山林問題が起きるごとに私を出張させてくれた。なかなか頑固な人だったが、気持は柔い人で、いわず語らずの間によほど私を助けてくれた。山林のある所を、日本中どこでも歩くことができたのは、ありがたいことであった。
信州の柳田家に入る
柳田家に入ったのは、三十四年のことであった。その時籍を早く移していたわけであったが、結婚したのは三十七年であった。柳田家は信州飯田の藩士であったので、公務を兼ねて父祖の故郷飯田に行った。そこには、風伝流の槍をつかう、通称「飯田の伯父さん」という義父の兄に当る人が達者でいたので、そこを訪ね、親類へも挨拶をしてまわった。
三十四年の九月末か、十月早々に出かけ、信州の一市十六郡のうち、木曾一郡を残した全県下を、草鞋履きでしんみりと歩いたことをおぼえている。北信の大町へ行ってみたら、もう氷柱が二尺も下っていて、非常に寒かった。産業組合の話もしたが、主として農会の話をした。県農会とか、町村農会とかが、どうあるべきかということを一人で話して歩いたが、県庁から生意気な役人がくっつき歩き、いつも後の方で傍聴しているので、同じ話を二度するのはいまいましいと、大変苦心したものである。