Japanische Klassiker mit Furigana
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こきょうしちじゅうねん
故郷七十年
柳田 国男
Lesen Sie 故郷七十年 (こきょうしちじゅうねん) von 柳田 国男 (やなぎたくにお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 257.350 Zeichen · 507 Bildschirme
といわれた。親を面白がらせようとして、いくらか文学的表現や、誇張を用いたのかもしれない。後に話すが、二匹の狐と隣家の刃傷沙汰など、異常心理にかられたと見えて、非常に詳しく報告したのであった。
面白い二カ年であった。淋しいことは淋しかったが、誰も特別にかまってくれず、しかも新しいものは見放題。ザクロは酸っぱいものと思っていたのに、そこで食べてみると甘いザクロがあった。そういう種類の新発見、子供に利害の深い新発見というものが非常に多かった。私は学校へ入らず、身体が弱いからというので、兄貴は一言も怒らないことに決めてあったらしく、素っ裸で棒切れをもってそこら中をとびまわっている。それだけなら普通の悪太郎なのだが、帰って来るとやたらに本を読む、じつに両刀使いであった。
そのころ東京では、尾崎紅葉が硯友社の仲間といっしょに『我楽多文庫』という同人雑誌を出していた。四六倍判で十六号まで出た。江見水蔭はまだいなくて、石橋思案その他四、五人の道楽者が集まってやっていた。明治二十一年のことだと思う。狐事件の時に手頸を斬られた隣の小川の小父さんがそれをもっていて、私は子供のくせに、その雑誌を見せてもらっていた。