Japanische Klassiker mit Furigana
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こきょうしちじゅうねん
故郷七十年
柳田 国男
Lesen Sie 故郷七十年 (こきょうしちじゅうねん) von 柳田 国男 (やなぎたくにお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 257.350 Zeichen · 507 Bildschirme
播州の開拓部、加西郡のずっと奥あたりにも、同じようなユーモラスな話を、自分の所だけのことだと思って遠慮しいしい口にする習慣があった。私は近所のお婆さんあたりからたびたび聞かされたことがある。「広いもんじゃのう」といって、あの峠を越えて行ったら、「かわいそうに、お前のような奴には瀬加でもせめて見せてやりたい」といわれたとか、そんな話がいくらもあった。
地名をいわなくては判らないが、瀬加という所にはお寺があって、私も二、三度行ったことがある。岡部川というのが瀬加の方へ入ってから市川に注いでいる。瀬加はまだ山の行き塞りでなく、笠形というのがいちばん奥である。
その辺でもそこばかりが山里みたいにいっているが、多可の郡の方から入るとあちらでも同じような話をしているらしい。「けたでけられて、まんがんじでまけて、おおちおとろし、とってかもかもだに」などということも、小さい時によく聞いたものである。芥田、満願寺、大内、鴨谷などという所があるので、そんな言葉が生れたのであろう。これは自分の所はそれほど辺鄙ではないという、一種の誇りから生れたのであろうか。とにかく子供のころこういう話を幾つも聞かされたのを憶えている。