Japanische Klassiker mit Furigana
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こきょうしちじゅうねん
故郷七十年
柳田 国男
Lesen Sie 故郷七十年 (こきょうしちじゅうねん) von 柳田 国男 (やなぎたくにお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 257.350 Zeichen · 507 Bildschirme
見せてくれないことが多かった。村長が有力ならば、表に立つが、そうでなければ有志家が交渉に当る。こういう有志家というものは、もとはどこにもなかったものであった。
維新時代の、いわゆる慷慨悲憤の徒がはびこった時代の産物かというとそうでなく、むしろ四民平等の法令が出てからのものらしい。百姓の中にやや道理が分る者とか、家にいくらか蓄財があるとか、社会に信望があるとかいう中産階級の中で、口が利ける者がその力を集めて発言するようになったものである。
このことを私は奄美大島から沖縄の島々に行ったときに気づいた。與人というので、まあ貴族の別称でもある。ヨカルビトともいうから、良き衆という意味で、島によっては村のいちばんの顔役という所もある。ユウンチュとユウシとは偶然の暗合だろうが、音が非常によく似ている。外来人があると、わざわざ羽織でもひっかけ、分相応な返答をする連中のことである。腹の底には疑惑と警戒との心を蔵しつつも、表べだけは「じつは……」などと切り出して、打ちとけた風な口を利くのが、この人たちである。
この村の有志家なるものが、今日の地方の運動員、選挙の運動員というものの基礎をなしたと思うと、確かにもう一度、研究し直してもいい問題である。