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Japanische Klassiker mit Furigana

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こきょうしちじゅうねん

故郷七十年

柳田 国男

Lesen Sie 故郷七十年 (こきょうしちじゅうねん) von 柳田 国男 (やなぎたくにお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 257.350 Zeichen · 507 Bildschirme

Aozora Bunko

これはまことに寂しいことである。ただ私は村というものを馬鹿にせず、村の成立ちとか変遷とかを自分の村で経験しなくなってからも、他所の村で十分味わうことが出来たわけである。このように私自身はまだよかったが、他郷に終始した長兄にとっては、人間と離れた故郷というものが、じつに寂しい感じのものであったに相違ない。

長兄は郷里を出て東京に来るときには、決してもう帰らないという気持ではなかった。しかし不在の五、六年間に大分郷里の事情が変ってしまい、ことに前にいった村の有志家のうち、ちょとした蹉跌で失脚するものが少なくなかった。例えば藤本といって義侠心もあり、個人的にも長兄を可愛がっていた家が、瞬く間に不幸続きとなり、兄が帰っても相談にのってくれそうもなくなった。そういうことがいろいろあって、兄にはもうとても駄目だと思われたらしいのである。

そのうえ、もっと大きな理由は、郷里の親類が皆医者だということである。私の家はしばらく医者をやめていたので、今さらそれらの親類の中へ割り込んで、競争するのは嫌だという点があった。そうこう考えた末、二度目の兄嫁として茨城県人を貰ったものらしく、大分郷里を出るときの心持とは変っていたように思う。