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Japanische Klassiker mit Furigana

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こきょうしちじゅうねん

故郷七十年

柳田 国男

Lesen Sie 故郷七十年 (こきょうしちじゅうねん) von 柳田 国男 (やなぎたくにお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 257.350 Zeichen · 507 Bildschirme

Aozora Bunko

兄の嘆きは深く、哀れな挽歌がたくさん残っている。兄の歌集は私が『南天荘歌集』として印刷して世に出したが、その最初であったか、「折にあひてうらやましきは女郎花枯れても残る姿なりけり」というのが出ている。ちょうど九月末のことであった。もう一首「月見れば月にいよいよ白かりし妹が面わぞ面影にたつ」というのがある。顔の非常に綺麗な、色の白い人であった。私は兄嫁より一つ年下で、小さいころから親しく遊んだりしたので、ことに痛恨に堪えなかった。一軒の家の悲劇は、じつにちょっとした手違いから起るものだと、つくづく考えさせられるのである。

由緒ある井上の家を絶やさぬために、次兄が非常に悩んだのも当然の話であった。いろいろと考えた末、他の縁者から養子を迎えて井上家を継がせ、自分は一代だけで外へ出ようという決心をした。こうして養子のことを心にかけつつも、いろいろの手違いから、うまく進まず、その上、兄がまた伝染病で死ぬという悲劇のために、あたら一軒の名家が空しくなったことは、まことにおしいことであった。

井上の母も死に、兄も村へ帰らなくなってから、井上家を管理してくれた人は山口大三郎といって、井上家と血縁の人であった。