Japanische Klassiker mit Furigana
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こきょうしちじゅうねん
故郷七十年
柳田 国男
Lesen Sie 故郷七十年 (こきょうしちじゅうねん) von 柳田 国男 (やなぎたくにお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 257.350 Zeichen · 507 Bildschirme
例えば私の高等学校からの旧友で副島八十六という人があった。両親の年を合せて八十六になる時に生れたというので、八十六という名をつけたのだそうである。播州から出てきた八木という人の家ではじめて会ったが、副島がある時、そこの家の子供が無邪気に眠りこんでいるのを見て、ぽろぽろ涙をこぼし、そして、「ああ、汝等幼児の如くならずんば天国に入ること能わずというのはこれだなあ」といったとか。そのころクリスチャンになっていたのだが、ともかく大変な感傷家であった。海外に出て苦労もし冒険もしたが、帰って同郷の佐賀人である大隈伯の陰の秘書みたいな仕事をしていた。ちょうど日本青年館で郷土舞踊が催された時であったが、副島が「柳田君ちょっと」と手を引張って廊下に出た。誰もいない所で、「君、何んとかしなくてはいけない。井上先生、あんなに威張ってばかりいちゃ駄目だよ。あれじゃ評判も悪くなるよ。君ひとつ兄さんに苦言を呈さないか」というのであった。私はそれに対して随分皮肉な返事をした。「どうも折角だけれども、僕はあれ、もっと威張って、もっと人望を悪くしてくれてもいいと思う。君らがやたらに行くから、それでいい気になって、自分で国士だと思っているけれども、もうあれは本当に歌の方の側からいっても、医者の方からいっても、一通り働いているんだから、これから