Japanische Klassiker mit Furigana
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こきょうしちじゅうねん
故郷七十年
柳田 国男
Lesen Sie 故郷七十年 (こきょうしちじゅうねん) von 柳田 国男 (やなぎたくにお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 257.350 Zeichen · 507 Bildschirme
それがたしか明治三十年の春ではなかったかと思う。
私の詩は「野辺のゆきき」という題であった。利根川べりの秋の寂しい景色を描いた抒情詩で、想像でスケッチ風に書いたものである。
六人のうちの一人、宮崎湖処子が、われわれの作っていた紅葉会という歌の会に入り、松浦先生のお弟子になったのも、この詩集が機縁であった。紅葉会というのは、ある時の紅葉狩りの帰りに成立った会で、私はまだ松浦先生の門に入ったばかりであったが、誘われて仲間になっていた。
また、紅葉会の連中が『松楓集』という歌の本をまとめて出したことがある。今では珍本だが、みな「題詠」ばかりである。ただ稽古のつもりで書いた歌を集めたにすぎない。戦前に改造社が『新萬葉集』を出した時、折口信夫君が自分にまかせてほしいといって、その『松楓集』一冊を種本にして、私の旧作を入れようとした。私は、稽古のために作った題詠の歌を、そのまま後世に残る選集に入れられるのは困るではないかといって止めてもらった。
題詠の歌は実情を詠まなくても、想像でもいいわけである。だから妙齢の処女にも何々の恋というような歌を詠ませることになる。