Japanische Klassiker mit Furigana
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こきょうしちじゅうねん
故郷七十年
柳田 国男
Lesen Sie 故郷七十年 (こきょうしちじゅうねん) von 柳田 国男 (やなぎたくにお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 257.350 Zeichen · 507 Bildschirme
と言ったりした。長崎へ着くと、もう亡くなったが渡辺勝太郎さんという、よく物のわかった人がちょうど県知事をしていて「そんな馬鹿なことがあるものか。君が喧嘩したのは内閣であって、国じゃないだろう。政府のために働かないでも、国のために働かないということはないはずだ」と、じつに簡単に説伏せられてしまった。「それでは仕方がない。じつはぼくは大阪朝日の社長と、ぼくの養父とには事前に相談をしなければならないのだから、二人が同意したならば受けるという条件つきで返事を出すことにしよう」といった。すると渡辺君は私の見ている前で電報を打ってくれた。
大阪からも、非常に結構なことだからぜひ行くようにという返電が来たし、養父の方も賛成であるということが、長崎を歩いているうちにはっきりした。こうして行かずにはおけないことになってしまった。
今でもよく憶えているが、諫早駅で小さな子供がよちよちプラットホームを歩いているのが目についた。そのとき、あの子は西洋へ行かんでいいなあと感じてしまった。こちらは気が張りつめていっぱいになっているのに、その子供はのんびりとしているのが羨しかったわけで、そんな滑稽な心境も今思えばなつかしいことである。