Japanische Klassiker mit Furigana
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こきょうしちじゅうねん
故郷七十年
柳田 国男
Lesen Sie 故郷七十年 (こきょうしちじゅうねん) von 柳田 国男 (やなぎたくにお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 257.350 Zeichen · 507 Bildschirme
こんな腹の底から起る人間の悲しみをあらわす方法をもたなければ困るではないか。仏教でもいいが、坊さんのお経はあまりにも客観的すぎる。そう思ったので、私は父の一年祭のときのノリトとは違った碑文として、この悲しみを書いてみた。漢文で書いたのだが、幸いにもそのころ森槐南先生が宮内大臣秘書官をしておられたので(私も宮内省に勤めていた)折があったら拙文をご覧下さい、とお願いしておいた。槐南先生も大変同情して、その中の八字か九字を訂して、漢文としても、また日本読みの調子としてもいいように直して下さった。今でも谷中の墓地に、矢田部雄吉の墓の背面に刻んである。義姉や養母の悲しみをくんで、苦心しているうちに、一周忌には間に合わなくなったかと思う。
たしかこのとき、養父に見せたところ、養父は親友で同じく法律家であり、漢学者でもあった倉富勇三郎さんにそれを見せたらしい。すると倉富さんは雄吉が柔道の黒帯だったので黒帯という文字などを使って、素人眼にいいように直してしまった。せっかく槐南先生に手を入れていただいてよく出来たと思っているのを、さらにまた直されたりして、このときは私も大分憂うつになってしまった。