Japanische Klassiker mit Furigana
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こきょうしちじゅうねん
故郷七十年
柳田 国男
Lesen Sie 故郷七十年 (こきょうしちじゅうねん) von 柳田 国男 (やなぎたくにお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 257.350 Zeichen · 507 Bildschirme
宝珠花ではお八重がかさだ お八重買う奴 みなかさだ
子供のころこんな言葉を船頭が口にしていたのを、かさということも知らずに、固有名詞が二つもあるので、子供心に面白く思ってきいた。下総が利根川流域にとんがり出している辺である。茶屋女の沢山いた所で、船頭たちが下流に来てから、そこのことを思い出して歌ったものであろう。
下野の方から利根川に合流する鬼怒川と、その東の方、益子の脇を通って南流する小貝川とがある。鬼怒川は主として奥州の荷物を利根の方へ出すための水運で、宇都宮の東北にあたる阿久津という所まで持って来た荷物を、そこから鬼怒川の舟に乗せる。そして陸路を節約するわけである。それに大利根まで運びこめば、後はどこへでも自由に水運を利用できるわけであった。その盛りの時代は短かかった。
どちらかというと、上から運ぶものが少なかったので、仕方なく舟の空荷を利用して石を運んだ。下総の方には石が乏しく、沢庵の重しの石までが輸入品であった。こんなおかしな話まであった。利根川の下流では船頭たちが船荷を何でも少し、くすねる癖があった。細いサシ(俵にさし込んで中の穀物を検査する道具)を持っていて、それで中身をいくらか、くすねてとるのを楽しみにしていた。