Japanische Klassiker mit Furigana
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こきょうしちじゅうねん
故郷七十年
柳田 国男
Lesen Sie 故郷七十年 (こきょうしちじゅうねん) von 柳田 国男 (やなぎたくにお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 257.350 Zeichen · 507 Bildschirme
一つはフルサトという、昔栄えていまは衰えている都ということ。『古今和歌集』の「故里となりにし奈良の都にも……」などという、衰えた都を意味する文学語としてのフルサト。もう一つは生れ故郷、子供のころ育った場所である。私にとっては、今の田原村のように、良かれ悪しかれだんだん栄えて行く所でも、生れ故郷であってフルサトとはいわないのである。
辻川の私の家は、今は他に移されてすっかり変ってしまったが、間口五間半の小さな家であった。この間口五間半というのが昔は普通だったらしく、播州だけに限らず、私が調べた埼玉県川越在の旧い部落でも、やはり同じく五間半であった。五間半では馬一匹飼うのには少し狭いが、人夫を一人出すのには、それでよかったらしい。私の家など人夫はいなかったが、もとは人夫一人という負担で町割りをし、その代りに宅地税みたいなものは取らないことになっていた。五間半の間口がずっと軒並に続いて、今日は五人出せといわれると、順番にそれを出した。例外として三軒分とか四軒分とか広く間口をとったのが、大名主の三木家であったと思う。私の家は庭も表に十間か十二、三間しかなく、もとあった裏の藪の部分が、どういうわけか隣の鈴木という金持の醤油屋兼酒屋に分譲せられてしまったので、隣家の建て増しで塞がれたような形になってしまっていた。