Japanische Klassiker mit Furigana
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こきょうしちじゅうねん
故郷七十年
柳田 国男
Lesen Sie 故郷七十年 (こきょうしちじゅうねん) von 柳田 国男 (やなぎたくにお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 257.350 Zeichen · 507 Bildschirme
幼いころ、私の家には三つか四つだけ、子供がいつでも手をつける本があった。
一つは『三世相』といういわば昔の百科全書で、どこの家にも一冊はあった。六十の凶とか、これこれの日に生まれると運が悪いとか欲が浅いとかいうことまで書いてあった。
次は武家百人一首で、普通の百人一首をまねて、幕末に姫路藩の人が作ったという大変興味のある本で、美濃判半截の各頁に武者絵を描き、その上に和歌が書き入れてあった。曾我兄弟のように子供のよく知っている絵もあったので、とり合いで見たもので、今でも顔などよく憶えている。梶原景時の顔はつぶしてあったが、どこでもそうだったらしい。曾我十郎の歌は、「今日出でて巡りあわずば小車のこの輪のうちになしと知れ君」とあった。
ずいぶん無茶な歌でよく解らないが、曾我物語からあの兄弟の歌をとろうと思うとそれしかなかった。五郎の歌はもう少し仇っぽいもので、後に私も五郎にこんな歌はおかしいと感じたほどであった。多分井上の兄がまだ養子に行く前に、父母から買って貰って、生家に残しておいたのを、私ら三人の小さい兄弟が奪い合って見たものだったと思う。
その他に妙な本があった。