Classici giapponesi con furigana
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ちけむりてんめいじん
血煙天明陣
国枝 史郎
Leggi 血煙天明陣 (ちけむりてんめいじん) di 国枝 史郎 (くにえだしろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 191.184 caratteri · 379 schermate
……それを浪人の巨擘として、草莽の間に埋もれ給う……殿こそ惜しゅう存ぜられまする」
「戸ヶ崎行こう。範之丞も参れ」
率然といって冬次郎は、土間を横切り門口から出た。
「妹!」
「あッ、あッ、お兄イ様!」
「範之丞殿」
と熊太郎は制した。
「参りましょう、辛抱どころじゃ」
一同立ち去って静かになった土間に、織江の忍んで泣く声と、お浦が狂女の空洞声で、呟いているのがただに聞こえた。
と、ツカツカと貝十郎は、家鶏の籠へ近寄ったが、ポーンと籠を足で蹴った。
けたたましく啼き立つ家鶏の群は、一時四方へ散って逃げたが、すぐに住み慣れた籠を慕い、集まり寄って籠を巡った。
「アッハッハッハッ」
と貝十郎は笑った。
「桐島氏、白須氏、此奴らとんと駄目でござるぞ」
二人の同心は不可解そうに貝十郎の顔を眺めた。
「逃がそうとしても逃げて行かぬ」
「永らく飼われておりますからで」
伴作が何気なくいった。
「わしも永く飼われ過ぎたよ」門口を通して戸外を見ながら、貝十郎は感慨深くいった。「広い世間へ、自由の世間へ、わしは飛び出して行きたくなった」
「浪人なんどになられましても……」
「駄目だろうかな、家鶏のように」