Classici giapponesi con furigana
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ちけむりてんめいじん
血煙天明陣
国枝 史郎
Leggi 血煙天明陣 (ちけむりてんめいじん) di 国枝 史郎 (くにえだしろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 191.184 caratteri · 379 schermate
十七
他所へ行くにしても一揆の衆が、到る所に充ちているらしい。現に盆地を巡っている丘の、すぐの向こう側にもその衆徒が、雲霞のようにいるはずである。
(どうしたらよかろう? どうしたらよかろう?)
二人をこれまで苦しめた手合は、真の一揆の衆ではなく、贋一揆の衆なのであったが、再々苦しめられた二人のものには、その真贋が差別つかず、総括的に一揆衆とあれば、恐ろしく思われてならないのであった。
(それにしても何んとこの俺は、腑甲斐ない人間になったことか!)
範之丞には苦痛であり悲哀であった。
(かりにも親の敵を討とうと、旅へ出て来た俺だのに、人の声に驚いたり、物の音に怯えたりする。この臆病にはどうしてなったか?)
一つには屡苦しめられたことが、その原因にはなっていたが、さらに重大な原因といえば、親の敵を討たねばならず、それまでは迂濶には死なれぬ体と、あまりに自分を労わって、命を惜しみ危険をさけたこと――このことのように思われた。
(進んで危険に曝らされよう! 生死の巷へ出て行こう!)
範之丞へ勇気が湧いて来た。
「お玉殿」と範之丞はいい、側に坐っているお吉の手を、情熱をもって握りしめた。