Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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ちけむりてんめいじん

血煙天明陣

国枝 史郎

Leggi 血煙天明陣 (ちけむりてんめいじん) di 国枝 史郎 (くにえだしろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 191.184 caratteri · 379 schermate

Aozora Bunko

十

と、隣り部屋から声が来た。

「上様、寝ましょう、寝ましょうヨー」

狂女だけにこっちの部屋の、騒動などにかかわりなく、思い出の過去、恋しい人に恍惚とした心をやり、お浦は今にあるのであろう。

「さあ手枕、交いました」

勘助は舌打ちして腰をかがめた。

「押し入れへでもたたっ込め」

お吉のからだをズルズルと引いた。

十

気絶しているお吉の躯を、押し入れの中へ抛り込み、襖をしめると引っ返して来たが、そこでまた勘助は途方に暮れた。

松平冬次郎様――自分達のお頭――そのお方が必死と探している、ままごと狂女をゆくりなくも、こんなところで発見した。

ちょっと男の声色を使って、田沼の屋敷の秘密を訊いた、と、すぐにあれだけのことが、お浦によって語られた。

なるほど、これでは冬次郎様が、お浦を手に入れ本気になって、お浦に尋ね問われたならば、田沼の私生活の一切合財がお浦によって語られるであろう。

(冬次郎様が必死になって、お浦をお探しなさるはずだ)

そのお浦をここで目付けた。

冬次郎様のお屋敷へ、すぐにも連れて行かなければならない。

が、それは出来そうもない。

というのは今が昼だからで、素直に連れられて行ってくれればよいが、そうでなくて途中で喚かれでもしたら、田沼方でも、ずっと以前から手に入れようと探しているお浦だ、そうして田沼方の人間