Classici giapponesi con furigana
ja-reading.com
Leggi i classici giapponesi online con furigana. Filtra per livello JLPT, tocca una parola per il significato e traduci una frase.
ちけむりてんめいじん
血煙天明陣
国枝 史郎
Leggi 血煙天明陣 (ちけむりてんめいじん) di 国枝 史郎 (くにえだしろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 191.184 caratteri · 379 schermate
八
「伴作いるか! 桐島伴作! ……召し連れ出ませい! 桐島氏!」
叫んだ貝十郎の声より早く、同じ奥よりお浦を連れて、百姓姿の男が出て来た。
熊太郎の刃をあやうく遁がれ、逃げ帰って来た貝十郎の腹心、これも同心の桐島伴作であった。
「やあお浦! ままごと狂女! ……お浦まで連れて! お浦まで連れて!」
呻く冬次郎を尻目にかけ、
「これも人楯、拙者の人楯! 拙者を斬らば織江殿ともども、お浦も殺すでござりましょう!」
「…………」
「お浦を失わば冬次郎様、田沼屋敷の数々の秘密も……」
「…………」
「殿、お引き上げ遊ばしませ」
「お浦ごとき、ナーニ我々、逃げ水屋敷に潜入し、今夜田沼を討って取れば、必要のなき女ながら……」
「その屋敷には拙者籠り、蠢動妄動いたさせませぬ。……」
「あったら男、惜しい奴じゃ」
にわかに冬次郎は憮然として、気の毒そうに貝十郎を見た。
「上に賢明の宰相あって、旧慣を破って汝を引き立て、町奉行なんどに据えたなら、伝え聞く享保の大岡越前ほどの、手柄をしように田沼ごときの、隠密となって碌々たる与力、貝十郎、惜しく思うぞ!」
「殿こそ惜しゅう存ぜられます。……穏しやかに振る舞われ、出でて他家を継がれましたら、万石の主となり給い、やがてはご老中にもなられるご身分。