Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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ちけむりてんめいじん

血煙天明陣

国枝 史郎

Leggi 血煙天明陣 (ちけむりてんめいじん) di 国枝 史郎 (くにえだしろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 191.184 caratteri · 379 schermate

Aozora Bunko

十二

と、嚇かしではなく真実にいった。

九十郎の立ち去った後、織江は口惜しさに泣きぬれた。

親の敵に足蹴にされて、それでも生きていられようか! それもいいがこれから毎日、今日のようにさいなまれたあげく、穢されでもしたら何んとしよう?

(恥辱の恥辱、生きてはいられぬ!)

(遁がれたい、遁がれたい、遁がれたい!)

気がついて見れば持った刀で、足に掠り傷をつけたと見え、血が甲を流れていた。

(これで!)とさながら天籟かのように(事情を書いて投文しよう!)

どうして今までこんなことが、考えつかずにいたのであろう?

障子の紙を手早く破り、畳の表をむしり、それの先に血を浸ませ、

「織江と申す女この二階に、監禁されて責め折檻、憐れと覚し召し、官へお知らせ、なにとぞお助けくださりませ」

こう書いて簪を抜き、脚に巻きつけ様子を窺った。

と、この家の二階の下を、走って行く人の足音がした。

拾ってくだされと心に念じ、格子の間から投げ下ろした。

間。

駈け上がって来る足音がした。

十二

「織江様アーッ」

「勘助殿か!」

かけ上がって来たのは勘助であった。

「事情は後で! ……さあご一緒に! 急いで、急いで、急いで、急いで!」