Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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ちけむりてんめいじん

血煙天明陣

国枝 史郎

Leggi 血煙天明陣 (ちけむりてんめいじん) di 国枝 史郎 (くにえだしろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 191.184 caratteri · 379 schermate

Aozora Bunko

二

五本!

ダ、ダ、ダ、ダ!

五人の武士の抜いた刀が、地を蹴る烈しい足音とともに、黒頭巾の武士へ殺到した。

抜き合わせて切ったか?

いや逃げた。

踵を返すと黒頭巾の武士は、一散に竹屋の渡しの方へ逃げた。

それを追いかけて五人の武士が、迂濶にも半町ほど走った時、川に面した堤の斜面から、三人の人影が躍り出て、素早く駕籠を取り巻いた。

二

一人は博徒、一人は若衆、そうして一人は町娘であった。

顫えている駕籠舁きを揶揄するように、

「ねえ、怖かったでござんしょうねえ」

と、こういったのは町娘で、提灯の火に映って艶かしい、赤い袖口から腕を抜き、簪で鬢を掻くようにしたが、

「もう怖かアありゃアしないよ。……そうさ、わたし達のいうままになれば。……駕籠かついでわたし達についておいで」

「へい」

と先棒は顫え声で、

「どこへなりと参ることは参りますが……でも、この駕籠は田沼様へ……」

「来い!」

と気忙しく一喝したのは、博徒風の男であり、

「こう従いて参れ」

と穏かにいい、堤から耕地へ下りたのは、美貌の若衆武士であった。

間もなく三人に守られた駕籠が、今は提灯も吹き消され、星空の下暗い耕地を、黒く走って行くのが見られた。