Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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ちけむりてんめいじん

血煙天明陣

国枝 史郎

Leggi 血煙天明陣 (ちけむりてんめいじん) di 国枝 史郎 (くにえだしろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 191.184 caratteri · 379 schermate

Aozora Bunko

七

も答えなかった。

で、事情は解らなかった。

事情が解らないということになれば、あの時十二神貝十郎たちや、松平冬次郎たちの現われたことも、九十郎には解らなかった。

ただしお吉と範之丞とが、あの際あそこにいたことについては、闘いの間に範之丞が、猛り喋舌った言葉によって、あらかたのところわかったが。

そうして彼は妾であったお吉が、敵である範之丞とちぎったことを知り、怒りと嫉妬とを烈しく感じ、今も感じているのであった。

(親の敵と範之丞が、今後俺を狙うなら、俺は女敵として範之丞を将来狙って討ってやろう!)

こう思ってさえいるのであった。

(敵討ちなら相身互いだ!)

この感情が一面において、範之丞兄妹も帰っているらしいこの江戸の地へ彼自身、大胆に入り込んだ原因でもあった。

そうして彼は今日まで、あべこべに範之丞を討ち取ってやろうと、服部家の様子を窺いさえした。

その結果たしかに範之丞も織江も、家に帰っていることと、世間を憚りほとんど絶対に、外出しないことを知った。

(この方はゆっくりでいい。緊急を要するのは食うことだ)

江戸へはいっても仕官は出来ず、町道場をひらくことも、寺小屋らしいものをひらくことも、手蔓と金とがなかったので、実行することは出来なかった。