Classici giapponesi con furigana
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ちけむりてんめいじん
血煙天明陣
国枝 史郎
Leggi 血煙天明陣 (ちけむりてんめいじん) di 国枝 史郎 (くにえだしろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 191.184 caratteri · 379 schermate
二
た。
(冬次郎様の手へ渡されぬばかりか、うかうか世間へも放してやれない)
そこで今度の信濃への旅にも、お浦を連れて来たのであった。
「お浦、わしとままごとやろうかな」
貝十郎は眼を細め、お浦の顔をいとしそうに眺め、冗談のようにそういった。
「上様とでなければ厭でござります」
狂女だけに率直に、そうお浦はにべもなくいった。
「その上様親切だったかな、火事を起こしたあの晩に?」
「上様お泣きなされました」
「泣いた、ほほう、それはそれは」
「後継者のことをおっしゃいまして、上様お泣きなされました」
「ナニ、上様が後継者のことをいって? ……ふうん」
と貝十郎は眼を見張った。
と、そこへ白須源吾が、百姓姿ではいって来た。
二
「白須氏か。いかがでござった?」
「容易のことでは治まらず、困難の様子にござります」
「岩村田の方も騒いでいるそうだが?」
「双方の勢気脈を通じ、次第に猖獗となります様子。……なおここに詳しきことは、認め置きましてござります」
源吾は懐中から帳面を取り出し、貝十郎の前へ出した。
「ご苦労であった。奥にて休まれい」
源吾は立ち去り、貝十郎は、熱心に帳面の文字を辿った。