Classici giapponesi con furigana
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ちけむりてんめいじん
血煙天明陣
国枝 史郎
Leggi 血煙天明陣 (ちけむりてんめいじん) di 国枝 史郎 (くにえだしろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 191.184 caratteri · 379 schermate
二
それで車塚の乱闘の際、混乱にまぎれ二人を見失い、江戸へ辛うじてはいってからも、範之丞の屋敷は知っていながらも、そうして恋しい範之丞や、妹の織江が自分と同じく、車塚の乱闘に負傷もせず、これもとにかく江戸へはいり、ひそかに屋敷に帰っていることも、探って知っておりながら、昔のちぎりを縁にして、訪ねて行こうとしないばかりか、呼び出しさえもかけようとはせず、依然としてみじめな門附け生活、それに甘んじてただわずかに、夜ごと夜ごとに窓下に立ち――範之丞の屋敷の窓下に立ち、こがれる心を察せよとばかり、河東節の水調子、玉菊の調べを弾くことによって、心をなぐさめているばかりであった。
で、今宵も窓下に立ち、一節弾いて心をなぐさめ、背後から貝十郎が従いて来るとも知らず、しょんぼりと道を辿って行く。
今夜もうちこわしがあるらしいと、そう察したか家々では、早く雨戸や窓を閉じ、江戸の市中は寂しかった。
小路や角の辻々に、得体の知れない人々が、十人、二十人、四、五十人と、組をなして佇んで、ひそひそ囁き合い話し合っていた。
うちこわしに参加する人々か、それを見ようとする人々か、いずれにしても気味悪かった。