Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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ちけむりてんめいじん

血煙天明陣

国枝 史郎

Leggi 血煙天明陣 (ちけむりてんめいじん) di 国枝 史郎 (くにえだしろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 191.184 caratteri · 379 schermate

Aozora Bunko

十一

勘助は今は絶体絶命、お吉を抛り込んだ押し入れの中へ、自身も隠れて襖をしめた。

九十郎がはいって来た。

「や、こいつどうしたんだ?」

散乱している膳や碗、飯や菜が畳の上にある。

それだのにお吉の姿が見えない。

「お吉!」

と呼びながら隣り部屋をのぞいた。

お浦は今は疲労れたのでもあろうか、何んと無邪気にもいじらしくも、上様の人形を胸に抱き、ぐっすり眠っているではないか。

薄暗がりの中に立褄からこぼれた、白いふっくりとした脛が見え、狂女ながらも艶かしかった。

「いない」

と九十郎は引っ返して来た。

(下駄が沓脱ぎに揃えてあった。外へ出て行ったはずはない。変だ!)

と九十郎は考え考え、部屋を仔細に見廻した。

十一

部屋の中で事件が起こったらしい。――ということは万事の事情で、九十郎にも感じられた。

(この辺が怪しい)

とそこは直感、押し入れへ突き進むとガーッと襖を……

ドーン!

とたんに機先を制し、内にいた勘助が死骸さながらの、お吉の体を投げ出した。

「わッ」

外したがよろめいた。

躍り出した勘助はさながら飛鳥、横擦り抜けると部屋を突っ切り、縁から雨戸、雨戸から庭へ!