Classici giapponesi con furigana
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ちけむりてんめいじん
血煙天明陣
国枝 史郎
Leggi 血煙天明陣 (ちけむりてんめいじん) di 国枝 史郎 (くにえだしろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 191.184 caratteri · 379 schermate
四
「九十郎をとらえて打ち首にせい」
伝聞した九十郎はお吉を連れ、その夜のうちに逐電した。
田沼様に睨まれては江戸は愚か、どこへ行こうと安穏ではいられぬ。
その後の九十郎は悲惨であった。
奥州街道や中仙道、なるたけ辺鄙の個所を選び、博徒や香具師などの頭をたより、用心棒や剣術の指南、そんなことをして日を過ごした。
それも長くはいられなかった。
田沼様に睨まれている浪人者と、そう知られては所の領主に、とらえられて渡される虞があるからで。
長くて一月とはいられないのであった。
流れ流れてこの地へ来たのは、二月足らずの以前のことで、窮余の策から妾のお吉が、むかし女郎であったのを幸い、私娼となって稼ぐことになり、ここの露路のこの家を巣に、同じ商売の女二人を、出入りさせて稼ぎはじめた。
と、こいつは少しあたった。
この辺へ来ればお吉の縹緻が、ずば抜けて美しいからであった。
そこで九十郎も酒が飲め、友は類を呼ぶ悪友の、喜連川の浪人櫛木団八、津軽侯の浪人司馬又助――などという輩と押し廻り、賭場へ行っては賽をころがし、女郎屋や小料理屋へ出かけて行っては、強請がましく只で遊んだりした。