Classici giapponesi con furigana
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ちけむりてんめいじん
血煙天明陣
国枝 史郎
Leggi 血煙天明陣 (ちけむりてんめいじん) di 国枝 史郎 (くにえだしろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 191.184 caratteri · 379 schermate
車塚異変
一
車塚異変
一
「…………」
「痛快至極に存じ申した。……お見受けいたせばご浪人、我らの意志に賛せられ、一揆にご加担くだされたく、差し出でました次第にござります」
九十郎は刀の血を、大蔵の差し出した手拭いでぬぐい、鞘に納めて黙然としていたが、
「加担いたすでござりましょうよ」
やがてポッツリとそういった。
「おおご加担くださるか。……聞かば義兄の郡兵衛も……」
「いや」と九十郎は声で抑えた。
「その郡兵衛殿、この世にいませぬ」
「…………」
無言で、驚き、胸を反らせ、いわれた意味が解らぬかのように、大蔵はむしろ茫然とした。
「この世にいぬ? この世にいぬ?」
が、ややあって、審しそうにいった。
「この世にいぬと仰せられるは?」
「割腹して果てましたよ」
「ナニ割腹? そりゃいったい? ……」
「介錯いたしたはこの拙者」
「貴殿が介錯? が、どこで?」
「古戦場の桔梗ヶ原、雨降り鬼火燃ゆる中で……」
「それにいたしても何んのために? ……割腹なんど? あの郡兵衛が?」
「何者かと技比べいたせし結果、屈折されたを恥辱とし……」
「なるほどのう」
と憮然とし、山県大蔵は首を垂れた。
「あの一本気、あの情熱では、さようなこともあったでござろう」