Classici giapponesi con furigana
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ちけむりてんめいじん
血煙天明陣
国枝 史郎
Leggi 血煙天明陣 (ちけむりてんめいじん) di 国枝 史郎 (くにえだしろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 191.184 caratteri · 379 schermate
八
「殿」
と貝十郎はそれには答えず、梅の木の下に佇んだまま、空を見上げ片手を差し出し、掌を上にして呻くようにいった。
「灰が降り出しましてござりますぞ」
「なに灰が? ……すりゃまた浅間が!」
「爆発するかもしれませぬ。……人間社会がこの発狂! では日月山川草木、自然の世界も発狂して。……降るわ降るわ青灰が! ……幽かながらも降るわ降るわ!」
豪農諸角覚蔵の家へ、高阪郡兵衛と名を宣り、一見して浪人と見える武士が、冬次郎をひそかに訪れたのは、同じこの日の午後のことであった。
八
頤髯、猪首、長身、肥大、郡兵衛はそういう風采であり、年は四十二、三であった。
彼は冬次郎を説いているのであった。自分がこれまで背後にあって、統帥し指揮し駈け引きして来た北佐久の百姓一揆軍に、この松平冬次郎をいただき、さらに一層の結束を固め、一層の気勢を揚げようとして、熱心に説いているのであった。
彼と冬次郎とは旧知己であった。
天明三年に起こったところの、東北地方の大饑饉、死人の肉をさえ食したという、大饑饉の時この郡兵衛は、その地方へ出かけて行き、あらゆる救恤の働きをした。その際冬次郎も出張っていた。