Classici giapponesi con furigana
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ちけむりてんめいじん
血煙天明陣
国枝 史郎
Leggi 血煙天明陣 (ちけむりてんめいじん) di 国枝 史郎 (くにえだしろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 191.184 caratteri · 379 schermate
「上様にとっては一大事、そち必ず押し切って致せ!」
「上様のおためでございましたら。……」
「やれ!」
「はい」
「それでよろしい。……白須氏、お浦を向こうへ!」
返辞があって源吾が出て来た。
それを見すてて貝十郎は、一間をへだてた別の部屋へはいった。
招ばれて来た町方の妓女を擬し、白拍子の静の仮装をした、織江がそこに坐ってい、桐島伴作が付いていた。
「桐島氏、貴殿は彼方へ」
貝十郎の言葉に従い、立ち去る伴作を見送って、貝十郎は膝を進めた。
「織江殿」と忍びやかにいった。「兄上潜入いたしておりますぞ」
「…………」織江は頬に血の気を注し、眼に光を加えたばかりで、何んとも一言も云わなかった。兄が潜入していようとも、自分は敵の手に捕えられている身分、逢うこともならずどうすることも出来ないと、そう諦めているからであった。
「羽衣の漁夫の仮装をし、範之丞殿には潜入しおります」
「…………」
「戸ヶ崎先生も来ておられる。熊坂長範の装いしてな」貝十郎は云いつづけた。「冬次郎様にも安宅の弁慶の、変装のもとに忍び込んでおられる」
「それでは……昼間……仰せられたように……お三人様……忍び込まれて……」