Classici giapponesi con furigana
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ちけむりてんめいじん
血煙天明陣
国枝 史郎
Leggi 血煙天明陣 (ちけむりてんめいじん) di 国枝 史郎 (くにえだしろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 191.184 caratteri · 379 schermate
こいつを今夜から締めることが出来る。……まずもって船を向こう岸へ着けてよ、上総屋あたりへ引っ張り込んでよ、介抱申し上げて一汗かけば、女ってやつ他愛はねえ、九十郎さんへと云ってたやつが団八さんへと変わってしまう)
都合のいいことを考えていた。
漁をしている舟の篝火が、数点酸漿のように遠方に見え、長地村、湊村、川岸村、湖水を囲繞している村々は、その背後に頂きだけを、月光に明るめている山々の、裾の暗さに融け込んでいて、ほとんど姿は解らなかった。
「おや」
と不意にお吉が云った。
「気味の悪いものが従いて来るよ」
「何が?」
と団八は振り返った。
「あれをご覧よ、土左衛門らしいよ」
云ってお吉は指さした。
「えっ」
さすがにギョッとして、団八は差された指の先を辿った。
水脈に引かれて水死人らしい男の、丸太のような身体が浮き沈みしながら、船尾から一間ほどの水面を、船の方へ従いて来ていた。
「いけねえ、大変なお客様だ! 突っ返してしまえ!」
と備えてある櫂を、団八は取り上げて振り上げた。
「ちょっとお待ちよ! 生きているらしい。時々水を掻くじゃアないか」
「なおいけないや、ぶち沈めろ!」