Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

ja-reading.com

Leggi i classici giapponesi online con furigana. Filtra per livello JLPT, tocca una parola per il significato e traduci una frase.

ちけむりてんめいじん

血煙天明陣

国枝 史郎

Leggi 血煙天明陣 (ちけむりてんめいじん) di 国枝 史郎 (くにえだしろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 191.184 caratteri · 379 schermate

Aozora Bunko

「金はない!」

と範之丞は怒鳴った。

怒りと屈辱とで範之丞は、身を顫わせ歯を噛んだ。

「誰何するさえ無礼であるに、駕籠から引き出すとは何事か! 応分の寄附といいながら、寄附せねば腕ずくで取ろうとする、理不尽狼藉の所業は何か! ……金はない、寄附はいたさぬ!」

「黙れ!」と一人の浪人が喚いた。

「金なくて駈け落ち道中が出来るか! 主人の金を拐帯し、遁がれて来おった汝らであろう、吐き出せ金を! みんな吐き出せ!」

「黙れ! 無礼者! 不届き千万! 駈け落ちなんぞと穢らわしい! ……拙者は桑名侯松平の……」

といって来て範之丞は、いってはいけないと気がついた。お玉に話してなかったからで。それに無頼の浪人や百姓に、素姓を語ったら災いが――また災いが起こるかもしれぬと、そう思ったからであった。

「金はない、寄附はいたさぬ!」

「斬れ!」

一人の浪人が叫んだ。

「農民の窮状に同情せず、寄附せぬなどとほざく奴、武士たるものの風上にも置けぬ! 一揆の血祭り、斬ってしまえ!」

二、三人がギラギラと引っこ抜いた。

「まあまあお待ちくださりませ!」

驚いて叫んで抜き身を恐れず、浪人の群を分けるようにして、飛び込んだのはお吉であった。