Classici giapponesi con furigana
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ちけむりてんめいじん
血煙天明陣
国枝 史郎
Leggi 血煙天明陣 (ちけむりてんめいじん) di 国枝 史郎 (くにえだしろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 191.184 caratteri · 379 schermate
「その死の直前に郡兵衛殿より、拙者一揆の指揮たのまれ……食えると聞いて、フ、フ、フ、食えると聞いて引き受け申した。……フ、フ、フ、食えさえすればのう」
「夜が明けた」とその時まで、無言で立っていた織江が叫んだ。「夜が明けた! やっと夜が!」
降っていた雨もこの時あがり、東の空の山脈の上へ、暁が水色を産み出した。
「織江殿、いざ参ろう」
九十郎は歩き出した。
織江は後に従いて歩いたが、
(これで妾はこの男に――お父様の敵お兄イ様の敵に、二度危難を助けられた)
辛く悲しくそう思った。
半月の日が過ぎていった。
小諸城下から二里ほど離れた、車塚の郷の一軒の家の、薄暗い部屋に伊織の範之丞と、お玉のお吉とが坐っていた。
この車塚の郷民は、農を一方に女は巫女、男は狩猟や川漁をし、別世界をなして住んでいた。
一方は嶮しい岩山であり、三方は低い丘をもって巡らし、千曲川へ流れ込む鳳来川を、その丘の彼方に持った、この車塚には三年前までは、十七、八軒の家があったが、例の浅間山の爆発によって、三軒を残してことごとく倒れ、それを機会に住民散じ、今は一人の住人もなく、立ち腐れのように立っている家――三軒の家がいろいろの怪談や、さまざまの恐ろしい噂を持って、今に残っているばかりであった。