Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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ちけむりてんめいじん

血煙天明陣

国枝 史郎

Leggi 血煙天明陣 (ちけむりてんめいじん) di 国枝 史郎 (くにえだしろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 191.184 caratteri · 379 schermate

Aozora Bunko

「卑怯!」

「フ、フ、計ってやったーッ」

見れば刀を打ち落とされ、下緒で両手をキリキリと縛され、身動きならず服部織江は、一本の柱にくくりつけられていた。

その前の板敷きに腹這いながら、懐中から取り出した短い煙管で、莨の煙りを吹かせているのは、編笠を脱いだ九十郎であった。

この同じ日の午前のことであった。

牧野遠江守の居城たる、小諸の城内は上を下への、大騒動を演じていた。

諸方の百姓の一揆軍が、各街道から連絡をとり、この城下へ寄せて来るという、そういう注進が次から次と、さながら櫛の歯を引くがごとく、この城内へ届いて来るのに、その対策が確定せず、殿をはじめ宿将重臣、大広間へ集まり周章狼狽、評定をするばかりであった。

その騒動を外にして、むしろセセラ笑う心持ちで、十二神貝十郎は腹心の同心、源吾と伴作とを供に連れ裏門から外へ出た。

彼らはこの時より半月ほど以前に、塩尻の社家を引き払い、この小諸の牧野家の居城へ、田沼主殿頭に扈従して参り、今に滞在しているのであった。

しかるに今朝になって大変なことが起こった。

一大秘密を持っているところの、ままごと狂女お浦の姿が、城内から見えなくなったことである。