Classici giapponesi con furigana
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ちけむりてんめいじん
血煙天明陣
国枝 史郎
Leggi 血煙天明陣 (ちけむりてんめいじん) di 国枝 史郎 (くにえだしろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 191.184 caratteri · 379 schermate
ままごと狂女のお浦であった。
十二神貝十郎の想像どおり、城内混乱の隙をうかがい、城を脱け出して城下へ出、城下の混乱をくぐりぬけ、ここへ入り込んだ彼女なのであった。
この家の外の盆地の原で、騒がしい事件があったようで、怒号や悲鳴が聞こえたが、今はそれも静まった。
で彼女はいとしい上様と、好きなままごとをしなければならない。
木乃伊――彼女には上様であった。その上様を背後ざまに抱いた。
(さあどこへ据えましょう?)
骨ばかりになって破れている襖、そういう襖が立っていた。
「上様お坐りなさりませ」
上様を襖へ寄りかからせた。
上様は細い骨のような脚を、板敷きの上へ二本投げ出し、これも細い骨のような両手を、ブラッと両脇へ下げた姿で、襖へあぶなっかしく寄りかかった。窪んで黒い大きな眼、二つ並んでいる鼻の穴、その下に犬の牙のように、ムキ出している上下の歯、そういう形相を持っているところの、凄まじい顔が少し俯向き、お浦の姿を見据えていた。
お浦はその前に坐っていた。
赤味の勝った友禅の振り袖、着崩れてかえって艶かしく、鬢などもほつれて頬へも額へも、幾筋か毛がかかっていた。