Classici giapponesi con furigana
ja-reading.com
Leggi i classici giapponesi online con furigana. Filtra per livello JLPT, tocca una parola per il significato e traduci una frase.
ちけむりてんめいじん
血煙天明陣
国枝 史郎
Leggi 血煙天明陣 (ちけむりてんめいじん) di 国枝 史郎 (くにえだしろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 191.184 caratteri · 379 schermate
「ここにおりましても詮ないこと、一揆衆の中を押し通り、江戸へ参ろうではござりませぬか」
お吉は驚いて範之丞を見た。
従来見られなかった明るさと、雄々しさとが範之丞の顔にあった。
「伊織様!」とお吉はいった。「お供いたすでござりましょう。……江戸へ参るでござりましょう。……妾、あなた様のお心へ、そういう勇気の起こりますことを、どんなに念じておりましたことか! ……道中の苦患はこのお玉が、身に換えお引き受けいたしまする」
「何んの!」と範之丞は凛々しくいった。「今後はいっさいこの伊織、そなたに憂き目など見せませぬ。それほどなれば江戸へ参ろうなどと、何んの私申しましょう。……道中にての苦患も危難も。この伊織こそ引き受けまする! ……死も必定、生も必定、観じて見れば覚悟一つ! ……さあお玉殿参りましょう」
「あい」とお吉は嬉しそうにいったが、名残り惜しいというように、四辺をつくづくと見廻した。「一度去ったら車塚の郷、こんなところへは二度とふたたび、参ることではござりますまい。……恐ろしいところではございましたが、今は懐かしく思われまする」
「まことに」と範之丞もしみじみといった。