Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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ちけむりてんめいじん

血煙天明陣

国枝 史郎

Leggi 血煙天明陣 (ちけむりてんめいじん) di 国枝 史郎 (くにえだしろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 191.184 caratteri · 379 schermate

Aozora Bunko

せ、この日も朝から二人の同心を、市中見廻りに出してやったが、自分も夕景から出て来たのであった。

(昨夜は南伝馬町で十五、六軒、一昨夜は鎌倉河岸で七、八軒、米屋がやられたということだが、今夜あたりはもっと大がかりの、うちこわしが起こるものと見なければならない)そんなことが思われた。

掛け行燈に灯のともるころ、北八丁堀へ差しかかった。

桑名侯松平越中守様の、お長屋がいかめしく並んでいた。武家屋敷町は夜に入っては寂しく、ほとんど通る人影もなかった。

と、寂しい夜気を顫わせ、三味線の音が聞こえて来た。

(河東節)だと貝十郎は思った。

(水調子の玉菊だ)

※(歌記号、1-3-28)本来空の明には、実にともすべき提灯も……

この辺を弾いているのであった。

すぐの行手に辻があった。そこまで行って左の方を見た。と一人の門附け風の女が、一軒のお長屋の窓の下に立って、その三味線を弾いていた。

(おかしいなあ)と貝十郎は思った。(河東節の門附けなんて、およそ世間にあるものではない。しかも施こしなどしそうもない、武家屋敷の窓下などに立って、弾いているとはいよいよ変だ)

しばらく佇んで眺めやった。