Classici giapponesi con furigana
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ちけむりてんめいじん
血煙天明陣
国枝 史郎
Leggi 血煙天明陣 (ちけむりてんめいじん) di 国枝 史郎 (くにえだしろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 191.184 caratteri · 379 schermate
「その遺言状は狂女お浦が……」
「持っていると十二神貝十郎がいった」
「諸角覚蔵方内土蔵の中で、さようたしかに申しました」
「今の将軍様のご病体では、もはや新たに遺言状は書けぬ。お浦の持っている遺言状、これが唯一のものとなった」
「田沼、お浦を手に入れましたら?」
「お浦は殺戮、遺言状は破毀じゃ!」
「おそらくさようでござりましょう。……遺憾ながらそのお浦は……」
「うむ、車塚の乱闘の際、悪侍臼杵九十郎めに、奪われ連れ去られ行方不明……」
「それにいたしましてもあの際あの場所に、九十郎、お浦、服部範之丞殿、妹ご織江殿までおられましたは、何んとも不思議にござります」
「服部範之丞、妹ともども、復讐の旅に出たことは承知、思うにあの時九十郎めを、探しあて討とうとしたのであろうよ」
「貝十郎のとったあの時の処置、殿には何んと思し召しますか?」
「アッハハハ」と冬次郎は、むしろ心地よげに朗らかに笑った。
「ああまで見事に捌かれては、敵ながらも天晴れと貝十郎を、わしは褒めたくなったくらいだ」
「御意、わたくしもでござります」と、熊太郎も微笑した。「弓鉄砲で囲まれて、しかも慇懃丁寧に、領地境いまで送られて、これにてご免と申されました際には、何んともいえぬ変な気持ちに、アッハハハなりましてござる」